自分の中の何かが崩れ落ちたと時に読む「リアル」という漫画。立ち直るきっかけに。
生きていると良いことも悪いことも色々なことが起こります。
しかも、頑張っている人ほど、少なくとも一度はどん底の時というのが訪れるもの。
今までの自分は何だったんだ、、もうなにもかもどうでもいい、、、
自分の中の何かがくずれおちる瞬間。
まさにいま、そんなどん底の中にいる人にこそ読んで欲しい「リアル」というマンガ。
3人の主人公に訪れた「リアル」
リアルは車いすバスケットをテーマとしたマンガで、3人の主人公を軸に物語が進んでいきます。
- 陸上短距離走の選手として「誰よりも速く」を目指す「戸川清春」(トガワキヨハル)
- 高校に通うバスケ部「野宮朋美」(ノミヤトモミ)
- 同じ高校のバスケ部キャプテン「高橋久信」(タカハシヒサノブ)
そんな、ごくごくありふれた学生生活を送っている3人の日常が一瞬にして崩れ落ちてしまいます。
他のはない丁寧な感情表現
「リアル」の主人公たちは、下半身不随により車いす生活を余儀なくされたり、自分の過ちにより、他人を車いす生活に追い込んでしまいます。
そんな身体や心に何か障害を抱えている人の心情というのは、健常な人が、どれだけ理解しようとしてもなかなか理解しきれない部分も多いと思います。
なんとか手助けしようと親切心でしてあげたことが、実は傷つけていたり、差別につながっていたり、、
実際に経験しなければ、分からない苦悩があります。
そして、それは生涯を抱える本人たちだけでなく、それを支える周りの人間たちの苦悩でもあります。
障害を抱えるという、いままで当たり前に出来ていたことが、出来なくなってしまうこと。今まで自分が見えていた世界がまるで別の世界に見てしまうこと。
「まさか、自分がこんなことになるなんて・・・」という現実を受け止めきれない心の移り変わりが、本当にリアルに描かれています。
心が救われる描写
どんな人でも、自分に自信を失ったり、なにもかもが信じられないような「どん底」を経験することはあるかと思います。
そんなときというのは、自分の殻に閉じこもってしまいがちです。
「自分だけがこんな目にあっている・・・」「自分を理解してくれる人はどこにもいない・・」
もし、そんな感情に押しつぶされ、前に進む気持ちが持てなくなってしまっているならば、
「リアル」を読むことで少し気持ちが軽くなるかもしれません。
「リアル」では、障害者本人、同じ障害を抱える仲間、それを支える家族、友人、恋人。
あらゆる立場に位置する人たちの細かな生活の変化や葛藤。
どのようにして「どん底」へ落ちていくのか、そしてどうやって「どん底」から這い上がる勇気を身に着けていくのか、、
そんなわずかながらも少しずつ成長していく過程が、丁寧に丁寧に描かれています。
これほど想いが感じられる作品があっただろうか
わたしは、漫画が好きで数多くの作品を読んでいて、「リアル」も高校生の時から集め、全巻持っています。
ただ、これほどまでに人間の感情をとらえ、自分の心を突き刺すような表現で描いている漫画は見たことがありません。
そして、そのひとつひとつがわずかな変化を少しずつ丁寧に描いている。
人間は、そんなにすぐに現実を受け入れられません。そんなにすぐに前に進む勇気を持つことが出来ません。
そんな現実をここまで少しずつ丁寧にゆっくり描けるのは、井上雄彦先生の作品にかける想いによるものだと感じられます。
現実を受け入れる勇気を
いま人生の「どん底」にいる人も、それは一生懸命生きているからこそぶち当たる壁かもしれません。
「リアル」は、夢や理想にあふれた漫画ではないかもしれませんが、
現実の中にあるわずかな喜びや希望に気づかせてくれる漫画であると言えます。
真っ暗で先の見えない現実に「立ち向かう勇気を与えてくれる」そんな作品です。
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